法人税とは
法人税とは、法人が、各事業年度に得た所得に対して課税される税金のことです。
これだけでは全く何のことか分らないので、順に説明していきます。
1.法人の種類
法人はまず、「内国法人」と「外国法人」に区別されます。
「内国法人」とは、国内に本店または主たる事務所がある法人で、「外国法人」は内国法人以外の法人をいいます。
内国法人には、(1)公共法人、(2)公益法人等、(3)普通法人、(4)協同組合等、(5)人格のない社団等があります。
外国法人には、(1)普通法人、(2)人格のない社団等があります。
2.所得の源泉(発生場所)と納税義務
内国法人=国内源泉所得、国外源泉所得のすべてに納税義務があります。
外国法人=国内源泉所得のみ納税義務があります。
3.内国法人の種類と納税義務
(1)公共法人
国、地方公共団体の出資により公共の事業を行うことを目的とする法人です。
具体例は、日本中央競馬会(JRA)や、日本放送協会(NHK)などです。
公共法人は、公共性が大きいため納税義務はありません。
(2)公益法人等
宗教、社会教育、その他公共の利益を目的として、原則として営利を目的としない法人です。
具体例は、日本赤十字、学校法人等です。
公益法人は、原則として納税義務がありませんが、収益事業を行う場合には営利法人と同じですから納税義務があります。
(3)人格のない社団等
法人でない社団または財団で、代表者または管理人の定めのあるものをいいます。
具体例は、PTAや同窓会等です。
これも通常は収益事業を行わないため納税義務はありませんが、収益事業を行う場合には納税義務があります。
(4)普通法人
通常の営利を目的とする法人です。
具体例は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社です。
営利法人ですから、すべて納税義務があります。
(5)協同組合等
消費者、農民などの各自の生活または事業改善のために共同事業を行う組織です。
具体例は、漁業協同組合、信用金庫、農業協同組合などです。
すべて納税義務があります。
4.法人税の計算
法人税は、一事業年度における課税標準である所得金額を求め、その所得金額に税率をかけることによって計算します。
所得金額の計算方法は、会社の計算で算出された当期純利益に、会社計算と税務計算の異なる部分のみを調整して算出します。
つまり、
会社計算では、収益の額-費用の額=当期純利益 となりますが、
税務計算では、益金の額-損金の額=所得金額 となり、異なります。
ただし、会社計算の当期純利益と税務計算の所得金額はほとんど同じですから、ゼロからやり直すのは大変なので、違うところだけ拾って調整しようということになります。
その計算書類が「別表四」といわれるものです。
5.会社計算と税務計算に差異が生じる理由
会社計算は、「適正な期間損益計算」を目的とします。各事業年度できちんと利益を算出することが目的なので、ある程度自由が認められています。
これに対し、税務計算は「課税の公平」を目的としますので、誰が計算してもなるべく同じような数字になるように自由度は少なくなっています。
このように目的が違うため、これらの計算には差異が生じるのです。